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東京地方裁判所 平成5年(特わ)2913号 判決

本店所在地

東京都渋谷区桜丘町二二番一九号

日本ソフト設計株式会社

(右代表者代表取締役 大谷淳一郎)

本籍

千葉県船橋市田喜野井四丁目二九番

住居

千葉県船橋市田喜野井四丁目二九番三棟五〇四号

会社役員

大谷淳一郎

昭和一三年一一月二一日生

本籍

東京都三鷹市井の頭一丁目一六番

住居

横浜市緑区鴨居五丁目二四番九号

会社役員

中野了一

昭和二四年五月二二日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官工藤昇、弁護人土屋東一各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人日本ソフト設計株式会社を罰金一八〇〇万円に、被告人大谷淳一郎及び被告人中野了一をそれぞれ懲役一〇月に処する。

被告人大谷淳一郎及び被告人中野了一に対し、この裁判確定の日からいずれも三年間それぞれの刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人日本ソフト設計株式会社(以下「被告会社」という)は、東京都渋谷区桜丘町二二番一九号(昭和六三年九月二日以前は同区渋谷一丁目二四番四号、同月三日から平成四年七月三一日までは同区神宮前一丁目六番一号)に本店を置き、電子計算機のソフトウエアの開発等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人大谷淳一郎は、被告会社の代表取締役として、被告人中野了一は、被告会社の取締役として、共に同会社の業務全般を統括しているものであるが(以下、被告人大谷及び同中野を「被告人両名」という)、被告人両名は、共謀の上、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六三年五月一日から平成元年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五九二五万八七九六円(別紙1修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成元年六月三〇日、東京都目黒区東山三丁目二四番地一三号所在の所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が二三万一六五六円で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二三九二万八二〇〇円(別紙4(1)ほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成元年五月一日から平成二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九六三九万二八一五円(別紙2修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成二年六月二九日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が三三五万七四五七円で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三七六七万六七〇〇円(別紙4(2)ほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成二年五月一日から平成三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二一九一万八二四二円(別紙3修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成三年六月二八日、東京都渋谷区宇田川町一番一〇号所在の所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が五七五五万五一〇八円で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額七四四万三六〇〇円(別紙4(3)ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人両名の当公判廷における各供述

一  被告人大谷淳一郎(六通)及び同中野了一(六通)の検察官に対する各供述調書

一  植益文明、丸山鉄夫、佐久間辰美、坂井清二、西本数男及び鈴木憲二の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の外注費調査書、接待交際費調査書、支払手数料調査書、受取利息調査書、事業税認定損調査書、道府県民税利子割調査書、交際費損金不算入額調査書及び申告欠損金調査書

一  検察事務官作成の管轄確認報告書及び捜査報告書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成六年押第一九五号の1)

判示第二の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同号の2)

判示第三の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同号の3)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社について 判示各事実につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項(判示第一及び第二の各事実の罰金刑の寡額については、いずれも刑法六条、一〇条により平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による)、二項(情状による)

2  被告人両名について 判示各所為につき、いずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項(判示第一及び第二の各所為の罰金刑の寡額については、前同)

二  刑種の選択

被告人両名について いずれも懲役刑

三  併合罪の処理

1  被告会社について 刑法四五条前段、四八条二項(各罪の罰金額を合算)

2  被告人両名について いずれも刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

四  刑の執行猶予

被告人両名について いずれも刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・罰金二〇〇〇万円、被告人大谷及び同中野・各懲役一〇月)

(裁判官 中里智美)

別紙1 修正損益計算書

〈省略〉

別紙2 修正損益計算書

〈省略〉

別紙3 修正損益計算書

〈省略〉

別紙4 ほ脱税額計算書

日本ソフト設計株式会社

(1)自 昭和63年5月1日

至 平成元年4月30日

〈省略〉

(2)自 平成元年5月1日

至 平成2年4月30日

〈省略〉

(3)自 平成2年5月1日

至 平成3年4月30日

〈省略〉

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